不定詞の形は、「to + 動詞の原形」ですが、原形不定詞とはtoの付かない不定詞です。つまり、原形不定詞とは動詞の原形ということです。
例えば、通常の不定詞はto playといった形になりますが、原形不定詞はtoをとったplayです。そして、原形不定詞は知覚動詞や使役動詞の後ろで用いられます。
まず、知覚動詞の後ろで用いられる原形不定詞について解説します。
ここでは、知覚動詞の場合について解説していきます。知覚動詞とは、see「見る」、hear「聞く」、feel「感じる」など人の感覚(五感)に関係する動詞です。
これら知覚動詞の後ろで不定詞を用いる時は、toを取って原形不定詞(動詞の原形)にしなければなりません。
それでは、実際に知覚動詞の後ろで原形不定詞を用いる例文をみてみましょう。
「私は、彼がテニスをするのを見た。」ということを英語で表したい時、I saw him.「私は、彼を見た。」をベースにし、その後ろに彼が行った動作を表します。
ところが、以下のように動詞のsawとplayを2つ並べることはできません。日本語の意味も不自然です。
I saw him play tennis. 「私は、彼がテニスをするを見た。」
よって、不定詞を用いて以下のような形で表します。
I saw him to play tennis. 「私は、彼がテニスをするのを見た。」
この文で、「私は、彼がテニスをすることを見た。」とto playの部分は不定詞の名詞的用法となっています。
しかし、ここで終わりではありません。最初の定義を思い出しましょう。知覚動詞の後ろに不定詞が置かれている時は、原形不定詞になります。
よって、to playのtoをとり以下が正しい形となります。
I saw him play tennis. 「私は、彼がテニスをするのを見た。」
ここで、この文中のplayは一般動詞の意味「〜する」ではなく、不定詞の名詞的用法「〜すること」の意味を持っています。
形は動詞の原形ですが、不定詞の名詞的用法の意味を持ちます。もう1つ知覚動詞の後ろで原形不定詞を用いる例文をみてみましょう。
I heard my mother call me. 「私は、母親が私を呼ぶのを聞いた。」
この文のcallの部分は以下のように不定詞を用いますが、heard(hearの過去形)が知覚動詞なのでto callを原形不定詞callにしなければなりません。
×I heard my mother to call me. 「私は、母親が私を呼ぶことを聞いた。」
知覚動詞heardの後ろでは、to callと通常の不定詞を用いることはできません。このように、能動態の場合は知覚動詞の後ろで原形不定詞を用います。
ところが、知覚動詞が用いられていても受動態の形になっている場合はto不定詞を用いなければならないので注意が必要です。
以下の知覚動詞を用いた能動態の文を受動態の文に書き換えてみましょう。
I saw him play tennis. 「私は、彼がテニスをするのを見た。」
見られた彼(He)を主語にし、知覚動詞sawを受動態のwas seenに変えて受動態の文は以下のようになります。
He was seen to play tennis (by me).
「彼は、テニスをするのを(私に)見られた。」
※話の流れから明らかに分かるのでby me「私に(よって)」は省略します。
この時、seeという知覚動詞の後ろでもwas seenのように受動態になっている時はto playとto不定詞を用いなければなりません。
次に、使役動詞の後ろで用いられる原形不定詞について解説します。
使役動詞とは、make「させる」、have「させる」、let「させる」といった人に何かをさせるという使役の意味を持つ動詞です。
これら使役動詞の後ろで不定詞を用いる時は、toを取って原形不定詞(動詞の原形)にしなければなりません。
では、実際に使役動詞の後ろで原形不定詞を用いる例文をみてみましょう。
He made me do the work. 「彼は、私にその仕事をさせた。」
この文は、1つの主語Heに対しandなどを用いずに動詞のmadeとdoが同時に使われており、意見間違いのように思えます。
本来、1つの主語に対して動詞が2つ並ぶのはおかしいので、通常は以下のように不定詞の名詞的用法を用います。
He made me to do the work. 「彼は、私にその仕事をすることをさせた。」
ところが、「知覚動詞や使役動詞の後ろでは原形不定詞を用いる」より、以下のように使役動詞のmade(makeの過去形)の後ろでは原形不定詞を用います。
He made me do the work.
よって、to doは間違いで原形不定詞のdoにし、日本語訳も「彼は、私にその仕事をすることをさせた。」では不自然なので、「彼は、私にその仕事をさせた。」とします。
使役動詞meke, have, letが「使役動詞 + O + 原形不定詞」という形で用いられている場合、全て「〜させる」と訳しますが、それぞれ少しずつ意味が異なります。
3つの使役動詞は、それぞれ以下のような意味を持っています。
・使役動詞のmakeは、強制的に「〜させる」
I made him use my pen. 「私は、彼に私のペンを使わせた。」
makeを用いると、強制的に自分のペンを使わせたという意味になります。
・使役動詞のhaveは、お願いして「〜してもらう」
I had him use my pen. 「私は、彼に私のペンを使って貰った。」
haveを用いると、頼んで自分のペンを使って貰ったという意味になります。
haveはmakeに近意味も持っており、日本語訳は「私は、彼に私のペンを使わせた。」となることもあります。
・使役動詞のletは、許可して「〜させる」
I let him use my pen. 「私は、彼にペンを使わせた。」
letを用いると、許可して自分のペンを使わせてあげたという意味になります。
このように、能動態の場合は使役動詞の後ろで原形不定詞を用います。
ところが、知覚動詞が用いられていても受動態の形になっている場合はto不定詞を用いなければならないので注意が必要です。
以下の使役動詞を用いた能動態の文を受動態の文に書き換えてみましょう。
He made me do the work. 「彼は、私にその仕事をさせた。」
仕事をさせられた私(I)を主語にし、使役動詞madeを受動態のwas madeに変えて受動態の文は以下のようになります。
I was made to do the work by him. 「私は、彼によってその仕事をさせられた。」
この時、makeという使役動詞の後ろでもwas madeのように受動態になっている時はto doとto不定詞を用いなければなりません。
能動態の文では原形不定詞を用いますが、受動態の文では知覚動詞や使役動詞の後ろでもto不定詞を用いなければならないので注意しましょう。
最後に、get + to不定詞とhelp + 原形不定詞について解説します。
通常、原形不定詞は、知覚動詞や使役動詞の後ろで用いられますが、makeと同じ「〜させる」という意味を持つ使役動詞getの後ろではto不定詞を用います。
getを用いて「Oに〜させる」という意味を表す時は、「get O to 〜 」と原形不定詞ではなくto不定詞を用いなければなりません。
よって、makeを用いた文をgetを用いた文に書き換えると以下のようになります。
He made me do the work. 「彼は、私にその仕事をさせた。」
→ He got me to do the work. 「彼は、私にその仕事をさせた。」
getは使役動詞ですが、to不定詞(この場合to do)になるので注意しましょう。
次に、helpについて解説します。、helpは知覚動詞でも使役動詞でもありませんが、後ろに原形不定詞を置くことができます。以下の文をみてみましょう。
He helped me to do the work. 「彼は、私がその仕事をするのを手伝った。」
この文のように、helpはhelp O to不定詞 「Oが〜するを手伝う」というように後ろに不定詞を用いることができます。
そして、以下の文のように、helpはhelp O 原形不定詞 「Oが〜するを手伝う」と後ろに原形不定詞をおくこともできます。
He helped me do the work. 「彼は、私がその仕事をするのを手伝った。」
helpは、後ろにto不定詞と原形不定詞の両方を置くことができる動詞です。
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